絵本と児童書の間の時期に!文章量・ストーリーともに申し分なし!小学校低学年(小学1年・2年・3年)に絶対!オススメ!の読み応え抜群の絵本10選
小学生になったら児童書を読むものと思っていたのですが、それまで絵本ばかり読んでいた娘がいきなり縦書きの字・白黒の絵が少し入るだけの児童書を自ら読むはずもなく、小学2年となった今でも寝かしつけは絵本です。
とはいえ小学生ともなると、それなりの文章量は欲しいものですし、ストーリーもしっかりおもしろいものを読みたい…。
今回は色々なランキングには多分、ほとんど出てこないけれど、読んだらものすごく面白くて、文字量もたっぷりな読み応え十分の小学校低学年(小学1年・小学2年・小学3年)に特にオススメな絵本をご紹介します。
『綱渡りの男』~迫力たっぷりに実在の人物を描く~
読み聞かせで出会った絵本の中で、一番好き!と言っても良いかもしれません。
実在の人物であり主人公のフィリップ・プティの名前までは知らなかったものの、高層ビルの間を綱渡りする人の存在は何となく知っていたので、より一層面白かったです。
彼はどんな景色を見ながら綱渡りしたのか、また地上の人はどう彼を見上げたのか…
扉絵を使い、絵本の幅を広げることでその迫力を存分に伝えてくれています。
なぜ、彼はこんな無意味なことをするんだろう…
それなのになぜ、彼は人々の記憶に残り続けるんだろう…
夢中になることの素晴らしさ、そして人生の意味まで考えさせられる、珠玉の名作だと思っています。
事実は小説よりも奇なりと言いますが、伝記絵本の素晴らしさを発見した1冊です。
『野菜忍列伝其の四 怪僧タマネギ坊』~タマネギ忍者がテンポよく海の主を退治!~
忍者なのに、タマネギなのですが、、、(笑)
このタマネギ忍者が海の主、巨大タコ・イカ・エビを退治する痛快なお話です。
絶体絶命のピンチをタマネギ忍者は一体どう切り抜けるのか…!?とハラハラする展開も、なるほど、だからタマネギなのね!と納得の技を展開します。
また、どこかで聞いたことがあるような呪文・早口言葉・ダジャレが散りばめられたかと思えば、要所を締める日本古来からの言葉。
文章の緩急が絶妙で、リズミカルにテンポよくストーリーが展開されています。
その他、野菜列伝シリーズの絵本もとても面白いのですが、文句なしに一番オススメの絵本です。
タイトル | :野菜忍列伝其の四 怪僧タマネギ坊 |
著者 | :川端 誠 |
出版社 | :BL出版 |
『やねうらたんていモリ― クモ、ガブリ!じけんのまき』~緻密すぎる絵も必見!ハラハラドキドキ推理絵本~
探偵・忍者・おばけ・泥棒…あたりが娘が大好きなテーマなので、読んでみました。
屋根裏に事務所を構えるヤモリの探偵とその娘が、残された証拠を集めながら、クモ殺害事件の謎を解き明かす推理絵本です。
聞き込みや現場での調査、その途中に起こるハプニングなど、ハラハラドキドキの展開に引きずり込まれます。
迷子になっていた99匹目のおたまじゃくしとそのきょうだい達、親分のヒキガエルと協力して真犯人を捕まえる、その仕掛けとは…?
見返しに描かれたコマヤスカンさんならではの緻密すぎる「家の間取り図」・「屋根裏便利マップ」にこそ、コマヤスカンさんの情熱とこだわりが投影されている気がします。(笑)
絵本に全て登場する訳でもないのにこうした世界観をしっかりと作り上げることが、絵本に深い味わいをにじみ出しているのではないかと思ったりします。
「クモ、ガブリじけんの“まき”」というタイトルで、シリーズかと思ってしまうのですが、残念すぎますが、シリーズ絵本ではありません。
(シリーズだったらぜひ他も読みたい…!)
タイトル | :やねうらたんていモリー クモ、ガブリ!じけんのまき |
著者 | :コマヤスカン |
出版社 | :くもん出版 |
『ま、いっか!』~今日1日を幸せに生きることの大切さを脱力感ある絵とともに再認識~
締切・責任・ToDo…etcに追い回されている大人にこそ読んでいただきたい…(笑)
世の中のほとんど全てのことは何とでもなるということを教えられる気がします。
そして、今日1日を幸せに生きることの大切さを再認識します。
寝坊・バスの降りそこない・忘れ物・大遅刻…
全てを「ま、いっか!」で片付けてしまう「テキトーさん」の潔さを、子供も自分も身につけたいと思います。
脱力感あふれるドーリーさんの絵も世界観にマッチしていて、ちょっと笑える感じが好きです。
『のはらひめ』~ユーモアたっぷりに“お姫様”の常識を覆す~
「お姫様」の常識をバッサバッサと斬りまくってくれる「お姫様」に憧れる娘を持つ親には痛快すぎる絵本です。
「お姫様になりたい…」なんて甘えてるんじゃなーい!!と絵本の裏付けを持って諭せるようになります(笑)
勉強や運動もしないと幸せな結婚もできないし、守られるのではなく時には王子様を守るために強くなければいけない…
初版は1995年なのですが、この時代にこうした価値観を絵本に込めてくださったのは頭の下がる思いです。
お姫様に限らず、欲しい技術や知識・地位はある日突然手に入るのではなく、地道な努力の積み重ねの上にようやく身につけられるものなのだと気付かされます。
それでいて、ユーモアたっぷりなので、説教臭くありません。
大切なことは言葉にしても子供にはなかなか響かないものですが、絵本からそれとなく伝わるといいなという願いを込めて。
『もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう』~そうそう!大笑いの鉄板おしっこネタ~
子どもに鉄板のおしっこネタ絵本です(笑)
トイトレは育児の大きな山ですが、きっと子どもは子どもなりに一生懸命取り組んだからこそ、ウケるのかもしれません。
我が家の娘も読むたびにニヤニヤしています。
トイレに行きたいのにトイレは工事中…!
トイレに行きたいのにトイレのあるフロアにエレベーターが止まらない…!
見つけたトイレはぼくには使えない…!
あぁ、やっと見つかった…と思ったら、、、あれ、何かおかしい…(笑)
もっちゃうもっちゃう…!という展開が何度も繰り返され、やきもきさせられますw
絵本の通りでそうそう!と大人も笑わずにはいられません。
タイトル | :もっちゃうもっちゃもうもっちゃう |
作 | :土屋富士夫 |
出版社 | :徳間書店 |
『おばけと友だちになる方法』~可愛いおばけと仲良くなるには?~
娘はオバケが大好きなのですが、、、💧
いるのかな、いないのかな、いたらどんな感じなのかな…と、いないからこそ想像が止まらず、いつまでも考えてしまうものなのかもしれません。
オバケのほっぺが赤くて絵がとっても可愛いんです(笑)
いつも考えていたオバケがこんなに可愛いいんなら、ぜひとも仲良くしたいところ。
オバケの好きなごはん・好きな場所・好きな音楽…
人間とはちょっと違うけど、仲良くなるためには相手のことをたくさん知りたい…!
という知りたい欲を満足させてくれる、取扱説明書形式の絵本です。
人間に必ず訪れる死を、エンディングで温かく描いています。
違いを認め合うことの大切さを学べるような気がします。
タイトル | :おばけと友だちになる方法 |
作・絵 | :レベッカ・グリーン 作・岸本 佐知子 訳 |
出版社 | :福音館書店 |
『しずくのぼうけん』~身近な水の不思議さをリズミカルな文章で学ぶ~
身近すぎる水が、1滴のしずくから、氷・水蒸気・雨・川、、、と様々に姿を変え冒険を繰り広げます。
水って不思議ですごいんだな、というのは子どもにはあんまり伝わらないかもですが(笑)、結構な文章量がリズミカルに巧みに訳されているので、まるでスキップしているかのようにテンポよくスイスイ読めます。
科学の入り口としてもお勧めの1冊です。
タイトル | :しずくのぼうけん |
作・絵・訳 | :マリア・テルリコフスカ 作 ・ボフダン・ブテンコ 絵・うちだ りさこ 訳 |
出版社 | :福音館書店 |
『じごくのそうべえ』~テンポよく地獄を切り抜ける展開に笑いが止まらない不朽の名作~
不朽の名作…!だと勝手に思っています。(笑)
私自身が子どもの頃に何度も何度も読んだ絵本です。
閻魔様も鬼たちも地獄も、結構なおどろおどろしい絵なのですが、閻魔様の適当なお裁きにより連れ立って一緒に地獄に落とされてしまった4人の仲間がそれぞれの持ち味を生かして、痛快に鬼や地獄を切り抜けていくのが楽しすぎて、地獄のお話ということをすっかり忘れてしまいます。
リズミカルな文章・地獄とは思えない陽気な掛け声・おなら・くしゃみ・呪文…
次々と展開されるストーリーに笑いが止まらず、一気に読めてしまいます。
地獄という逃げ場のないピンチに追い込まれても、決して卑屈にならず、自分を見つめ直し、仲間と協力し合い、明るく危機を脱出する…
言葉にすると何だか小難しいのですが、大笑いのストーリーの奥底にはそんな強いメッセージが込められているような気がします。
初版は1978年(!)なのですが、世代を超え、読み継いでいきたい最高の絵本だと思っています。
その他、続編も出版されていますが、やっぱりこれが一番おもしろい!と思います。
タイトル | :じごくのそうべえ |
作 | :たじまゆきひこ 作 |
出版社 | :童心社 |
『だがし屋のおっちゃんはおばちゃんなのか?』~性同一性障害をユーモラスに描く~
おっちゃん?おばちゃん?(笑)
筋肉ムキムキ・人前で平気でおならをする・大きなガハハという笑い声 etc…
だがし屋の店主であるおっちゃんは、どう見ても男性だと思っていたけれど…
そんなおっちゃんが「はるこ」と呼ばれていたことからおっちゃんは女性かもしれないという疑惑を確かめに行くお話です。
最近でこそ性同一性障害やLGBTの方々の存在が認知され、様々な権利も認められるようになってきましたが、そうしたことを言葉で子どもに説明し、理解してもらうことは難しいように思います。
小難しいことを説教臭く言いたくないな…と。
だからこそ、おっちゃん・おばちゃんという生真面目でないストーリーで優しく伝えられたら…。
男らしさ・女らしさとは?
自分らしく生きることを選んだお友達にかけてあげる言葉は?
子どもなりに考える、小さなきっかけを与える一冊ではないかと思います。
タイトル | :だがし屋のおっちゃんはおばちゃんなのか? |
著者 | :多屋 光孫 |
出版社 | :汐文社 |
知名度は低くとも面白い絵本を
娘は今小学2年生なのですが、なかなか児童書には手をつけられず、だからと言って文字が少なすぎる絵本は物足りない…
また、自分で選ぶには本の世界は広すぎて、どこから・何から選んで良いかわからない…
と、大人にとっても子ども自身にとっても、絵本選びが大変に難しい時期です。
だからといって「●●絵本対象!」「小学生が選ぶ●●絵本総選挙!」のようなランキングは、一定程度「売れている」あるいは「知られている」絵本じゃないとランクインしないという構図で。。。
知名度はそんなにないけれど、すっごく面白い絵本ってきっと山ほどあるんだけど、自分が知らないだけで、知った時期にはもう適切な年齢を過ぎていた、、、
ということがもう残念すぎて、、、
だからこそ敢えて、せめて私が読み聞かせた中から、ランキングにはほとんど登場しないけれど特に面白い絵本を選んで記事にしました。
どれも本当に素晴らしい絵本で、こうした作品に出会えて、絵本の素晴らしさを知れたことは、毎晩読み聞かせていたおかげかもしれません。
私自身も、あんまり知られていないけれど、面白い・読み応えのある絵本紹介の記事やブログを探し回って読ませていただいています。
そんな絵本がありましたらぜひ、教えていただきたいです。